
(C) Copyright 2009 Takashi Ohfuji. All rights reserved.No reproduction without written permission.
<2009年4月16日>
さてさてマンション管理士試験過去問研究(第2回)となっておりますが、その第2回へ行く前に復習問題が終わっておりません。。。
さっさと、やりましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
平成17年度マンション管理士試験 問3
不動産業者が建設し、分譲したマンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号イのマンションをいう。以下同じ。)の共用部分及び専有部分に、施工時の瑕疵による損害が発生した。この場合において、当該マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の管理者等が行う不動産業者に対する損害賠償の請求に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1.管理者は、共用部分に発生した損害について、区分所有者を代理して、損害賠償を請求することができる。
2.管理者は、専有部分に発生した損害について、区分所有者を代理して、損害賠償を請求することは、当然にはできない。
3.管理組合は、共用部分に発生した損害について、当然にその名において損害賠償を請求することができる。
4.集会において指定された区分所有者は、共用部分に発生した損害について、区分所有者全員を代理して、損害賠償を請求することができない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、肢4ですが
肢4のような共用部分等について生じた損害賠償金の請求は、
管理者は26条2項によって、区分所有者を代理して請求することができます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
区分所有法26条2項
2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・では、同じように集会で指定された区分所有者が、共用部分等について生じた損害賠償金を請求することができるのでしょうか?
これにつきましては、とくに指定区分所有者への授権を認めた条文はありませんので、指定区分所有者はそのようなことはできないということで良いです。
結論はそれでよいのですが、考えるべきことがあります。
それは、以下の条文と関係のあることです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
区分所有法57条1項~3項
1 区分所有者が第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第1項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・共同の利益に反する行為したものに対して、停止等の請求を求める場合、原則としては「他の区分所有者の全員又は管理組合法人」が請求主体となりますが(1項)、集会の決議による授権により「管理者又は集会において指定された区分所有者」へ訴訟追行権を与えることができます(3項)。
つまり、共同の利益に反する行為への措置(57条ー60条)の場合は、指定区分所有者への授権が認められるのに対して、共用部分等について生じた損害賠償金を請求については指定区分所有者への授権が認められないのはなぜなのか?
理由については分からなくともよいですが、
「これって、おかしいんじゃないの?」
とアンテナが働けば、かなりセンスがいいですね。
考えてみてくださいませ・・・
ここで、何が問題なのかといいますと、
26条の場合も57条の場合もシステムは同じなのですよ。
区分所有法全員でやるのは面倒だから、特定の者に代理権あるいは訴訟追行権を与えて、みんなを代表してやってもらおうと。
面倒だから利便性のために代表者にやってもらうということであれば、内容はまったく違いますが、状況は同じじゃないですか。
同じ状況なのに、どうして片方はOKで片方はダメなのか???
さて、その理由なのですが、難しいです。
合格レベルを遥かに超えていると思いますので、以下は参考ということで読み流してください。
私としましても100%の確信はないですが、おそらくこういうことだろうと考えております。
この問題は、職務権限の有無ということで違いが出てきているのだと思います。
26条は、管理者の職務権限(1項)を前提に、代理権(2項)を与え、その範囲内で訴訟追行権を与える(3項)という構成になっております。
つまり、あくまで職務の範囲で代理なり訴訟追行してくださいね、ということです。
管理者の仕事は「管理」ですから、通常の職務権限は「管理」のことに限定されます。
しかし、その通常職務である「管理」を遂行するにあたって、共用部分等について生じた損害賠償金を請求・受領権限があれば便利である。
よって、特別に法定代理権として共用部分等について生じた損害賠償金を請求・受領権限を管理者に与えたということになります。
職務権限があるものに代理権を与えれば便利だろうということで、管理者のみが代理権を持つという帰結になるのです。
それに対して、共同の利益に反する行為への措置(57条ー60条)の場合は、そもそも管理者の職務権限ではありません。
そう、この場合は職務権限が前提とならないので、あえて管理者でなければならない必然性がないわけです。
よって、管理者でもいいけど管理者じゃなく指定区分所有者でもいいですよ、ということになるのだろうと思います。
説明があまり上手ではないと思いますが、上記をまとめると
26条の場合 ⇒ 職務権限が前提となる ⇒ 管理者のみ
57条ー60条の場合 ⇒ 職務権限が問題とならない ⇒ 管理者だけでなく指定区分所有者でもOK
という感じになりましょうか。
以上は、私が考えた理由づけですので、本当はもっとスゴイ理由があるのかも知れません。
もし、ご存知の方がいらっしゃたら、ご教授いただければ幸いです。
今回は、あまり確証のない話(私見)を述べましたが、こんな感じで皆様もいろいろ考えていただければいいかと思っております。
ビジネスの効率化の本で定評のあるものを適当にセレクトして読んでいただければよくわかると思いますが、1流と呼ばれる人たちは、作業の時間はどんどん効率化しますが、考えたり思考したりする時間を惜しんだりはしません。
試験勉強において、考える時間を無駄なものとして排除する方向があるようですが、それはどうかと・・・
まあ、そのあたりも別の機会にお話したいと思います。
(何か、どんどん宿題がたまってゆくような・・・気が・・・)
ううむ。
ようやく復習問題が終わりました。
これで、やっと第2回の解説を始めることができます(笑)